皇太子に溺愛されすぎて、侍女から公爵令嬢になりました
「エリナを不幸にするのは……俺なのか?」

セドの低い声に、廊下の空気が張りつめた。

「これ以上どうしろと言うんですか。」

アルキメデスが一歩前に出る。その瞳は真剣で、鋭く光っていた。

「愛人にでもするおつもりですか。」

「愛人になどにはしない。」

セドは私を抱き寄せ、はっきりと言葉を放つ。

「エリナを妃にするつもりだ。」

「どうやって?」

アルキメデスが詰め寄り、息がかかるほどの距離で問いただす。

「あなたの妃は、王族か、公爵令嬢だと決まっている。――その掟をご存じないわけではないでしょう。」

私は胸が締めつけられた。アルキメデスの言葉は残酷なまでに正しく、逃げ場を与えてくれなかった。

「殿下。」

アルキメデスは声を低くし、真剣に言葉を続ける。

「これ以上……エリナに期待させないでください。」

その静かな訴えは、刃よりも鋭く私の胸を切り裂いた。
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