皇太子に溺愛されすぎて、侍女から公爵令嬢になりました
「期待か……」

セドの声は低く、だが揺るぎなかった。

「確かに今までのままでは、エリナを妃にするのは難しいだろう。」

その言葉に、胸の奥に鋭い棘が突き刺さる。――やはり、侍女のままでは未来はないのだ。

「だが、俺は諦めない。」

宣言とともに、セドは私を強く抱き寄せ、アルキメデスの目の前で唇を奪った。

「セド……」

驚きと切なさが混じり、声が震える。

彼は唇を離すと、まっすぐにアルキメデスを見据えた。

「俺は国王になる。それなら、自分の好きな女を王妃にできるだろう。」

堂々としたその言葉に、アルキメデスは拳を握りしめ、唇を噛み締めた。

「それまで……エリナをただ側に置いておくのですか。」

絞り出すような問いかけ。

彼の声には怒りだけでなく、私を思いやる痛みがにじんでいた。

その切実さに、私は視線を落とし、震える手でセドの袖を握りしめた。
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