残念令嬢、今世は魔法師になる
「いらっしゃい、ミレア」
「招待ありがとう、リベラ」

 出迎えてくれたリベラの笑顔に頬が緩む。けれど、その後ろに立っていたのは両親だった。
 彼らの姿を見た瞬間、胸の奥がきゅっと縮こまった。

「エヴァン令嬢、よくいらしてくれましたね」
「グランヴェール公爵家のご子息と親しくしておられると伺いました。ぜひ、ゆっくりお話を聞かせていただきたいわ」

 にこやかな笑顔で品のある口調。
 しかし、その目はまるで値踏みするようにこちらを見ている。

 変わっていない。
 この人たちの外面の良さと、あざとい打算は昔のままだ。
 隠す気すらないのだから滑稽だ。

「お招きいただき、ありがとうございます」

 私は笑顔で形式通りの丁寧な挨拶をしておくことにした。
 母親がにこやかな表情で会話を続ける。

「ご存じの通り、うちは由緒ある侯爵家ですのよ。先祖代々王室に多大な貢献をしてまいりましたの」

 ええ、知っていますよ。
 それを初めてお茶会に来た客人に自慢げに話すあたり、まったく変わっていませんね。

「そうなんですか。すごいですねー」

 とりあえず愛想笑いでもしておく。

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