残念令嬢、今世は魔法師になる
「薬は手に入らないの?」
「魔力減退作用があるから悪用されないよう医師の処方でしか手に入らないようになってる」

 どうにかしてカイラを専門の医者に診てもらいたい。

 鐘が鳴り響く。
 ノエインの授業の終了の合図だ。

「わかった。ありがとう。一つ勉強になったよ」
「もし医者を探すなら俺の知り合いに訊いてやるよ」
「ありがとう」

 私はお礼を言ってすぐに帰ろうと思ったけど、とっさに振り返ってスカートの裾を持ち、カーテシーをおこなった。

「本日もご指導いただきありがとうございました」
「……普通でいいって」

 そんなふうにぼやくノエインは、案外嬉しそうに口もとに笑みを浮かべていた。

 私はその足で、放課後に図書館で勉強しているリベラのところへ急いで向かった。

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