残念令嬢、今世は魔法師になる
 ノエインはすぐに信頼できる医師を紹介してくれて、数日後にはカイラの診察がおこなわれた。

 診断結果はやはりメンベリア中毒症で間違いなかった。
 カイラには薬が処方され、それを毎日服用するうちに熱が引いていった。倦怠感も徐々に薄れ、ひと月後にはすっかり回復した。

 それでも体内に蓄積された毒を完全に排出するにはしばらく薬物療法が必要で、その金額もかなり高額だった。それもすべてエヴァン家が負担した。

 アンデル侯爵は本当にまったく礼の一つも言わなかった。 
 けれど、代わりにカイラが礼をしたいと申しでてくれたので、私はその日アンデル家へ訪問することになった。


 私にとって二度目の私との対面だ。
 緊張しながらカイラの部屋を訪れると、ベッドに上半身を起こしていた彼女は私とリベラに目を向けた。薄い寝間着に包まれたその姿は、げっそりと頬がこけて、あまりにも痩せ細っている。
 私は胸の奥がぎゅっと締めつけられて痛くなった。

 他者の目からすると、カイラはこのように映っていたんだ。
 見ているだけでつらくなる。

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