残念令嬢、今世は魔法師になる
 今世も同じことが繰り返されようとしている。
 フェデルはカイラの人生の邪魔はしないと言っていたけれど、彼の意思ではどうにもならない。もし、ここでカイラが王太子妃候補になったら、国王によって選ばれてしまう可能性もある。
 そして1年後に何らかの理由でデミア侯爵令嬢が正式な妃に選ばれてカイラが婚約破棄されてしまうことも十分可能性はある。
 だけど、何よりもカイラの気持ちが気になる。

「カイラはどう思っているの?」
「お姉様にその気はないみたい。髪も切ってしまったし、今は勉学に励むそうよ。フェデル殿下には恩があるから将来は王宮での仕事に就いてお礼を返したいと言っていたわ」

 そういう道があるんだ。
 今のカイラなら婚約者候補に選ばれても辞退しそうな気がする。両親は激怒するだろうけれど。

「そっか。カイラにはしっかりした意思があるんだね」
「ええ。お姉様が頑張っていると、私も頑張ろうと思えるの」
「よかった。ふたりが仲良くできて私も嬉しいよ」
「ありがとう、ミレア」

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