残念令嬢、今世は魔法師になる
「昨日、お姉様と偶然廊下ですれ違ったの。勇気を出して話しかけてみたら、少しだけ話してくれたのよ」
「本当?」
「ええ。ミレアのおかげよ。これから少しずつでもお姉様に近づけるように頑張ってみるわ」
「応援してるよ」
「ありがとう」

 そう言って話すリベラは本当に嬉しそうだ。
 私も嬉しいよ。カイラが少しでも心を開いてくれようとしている。こればかりはそばにいるリベラに頼らざるを得ない。
 
「今日は午後から全体集会ね」
「それ気になっていたんだけど、何をするの?」
「魔法科の生徒全員が講堂に集まって魔法のお話を聞くの。そのときに前回の試験で学年トップだった人がそれぞれ代表で魔法を披露するのよ」
「そうなんだ。もしかしてリベラも?」
「私はまだまだ遠いわ。もっと頑張らないと」

 そんなふうに謙遜するリベラは本当にすごい。
 家では贅沢をさせてもらえないのに、こんなに頑張っているなんて。
 前世でもずっとひとりで頑張ってきたのだろう。そのとき、友だちはいたのだろうか。
 この様子だといなかった可能性が高い。

 私はリベラと一緒にいられて幸せだけど、リベラもそう思ってくれていたらいいなあ。

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