残念令嬢、今世は魔法師になる
「たしかに、あなたの言う通りです。ただし彼に指導をお願いするなら、魔塔を通して正式に依頼をしなければなりませんよ」

 院長先生はそう言って、今度はノエインへと目を向けた。

「どうでしょう? 依頼を受けてもらえますか?」

 するとノエインは真顔で淡々と答えた。

「仕事としてならやります。報酬次第ですが」

 院長先生は小さくうなずいて、今度は私に目を向けた。

「ミレア・エヴァン。私は初めて君を見たときから、何か秘めた力を持っているのではないかと感じていましたよ」
「え? そうなんですか」
「しっかり学びなさい。君の力には無限の可能性がある」
「はい、頑張ります!」

 落ちこぼれだと思ってずっと自分に自信がなかったのに、そんなふうに言ってもらえて胸が高鳴った。
 喜びの気持ちもつかの間、視界の隅にノエインの姿を捉えてそちらへ目線を向けると、彼は睨むようにこっちを見ていた。

 こ、こわい!

 私はふいっと顔を背けた。

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