残念令嬢、今世は魔法師になる
「あーあ、僕も可愛い子とふたりで勉強したいなあ」
「邪心がもれすぎだぞ。黙ってろよ」
「言わせてよ。実際にはそんなことできるわけないんだから」

 そう言ってため息をつくフェデルに、少し真面目に言い過ぎたかと訝しむ。
 フェデルはたしかに女好きだが、これまで彼が特定の相手と付き合ったことはない。
 縁談話が山ほどあるだろうから、相手に困ることはないだろう。
 まあ、どうでもいいが――。

 そんなことよりも、あのミレアという娘の身につけている魔道具が気になって仕方ない。
 あれは似たような代物ではない。見た目も、刻んだ紋様も、製作時についた細かい傷も、こめた魔力の波長すらも間違いなく、俺が作ったものだ。
 しかし、それはありえない。
 一つしか存在しないはずの魔道具が二つあるとは意味がわからない。

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