「明治大正ロマンス ~知らない間に旦那様が変わっていました~」
「そうだ。
 お前なら、LOVEはなんて訳す?」

「は?」

「珠子のところで、牛乳配達員と新聞配達人と大学教授とみんなで考えてたんだが――」

「……いや、平日の朝、なにやってんだよ」

 小太郎たちだな、仕事しろ、とよりにもよって、高平に言われてしまう。

 まあ、ぱっと見、適当な男だが、順当に出世しそうな感じだし、仕事の上では適当でないのだろう。

「そうだな。
 俺なら、『一生お前を大事にして養おう』かな」

 言うことも堅実だ。

「お前は?」
と問われ、晃太郎は考える。

 さっきも、みんなの考えを聞いてばかりで、自分の答えは出なかったのだ。
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