「明治大正ロマンス ~知らない間に旦那様が変わっていました~」
「そ、そうだ、あの……。
私、船に乗っている間、晃太郎様にお手紙を書きましたの」
「俺に?」
とこちらを見た晃太郎が嬉しそうに言う。
「見せてくれるか?」
「それが、船の中で投函してしまいまして」
「届くのが楽しみだな」
そう晃太郎は言ったが、珠子は焦る。
楽しみにされるような内容ではなかったからだ。
……届いたら、すり替えようかな。
しかも、晃太郎の家の住所は知らないので、外務省宛に出してしまった。
配達する人に、重要な手紙と間違われそうだ、と思う。
「……私、外務省に勤務したいです」
唐突な珠子の言葉に、
いや、何故っ? という顔を晃太郎はする。
もちろん。
手紙をすり替えるためだ。