「明治大正ロマンス ~知らない間に旦那様が変わっていました~」
同じ一等の部屋の二段ベッドで寝ることになったので。
次郎はもちろん、寝る前に、いい雰囲気になろうとワインを持ってきたりしたのだが。
珠子はザルなので、次郎の方が先に酔ったし。
「二段ベッドって、異国の子ども部屋みたいでいいですよね。
そういえば、次郎さんと晃太郎様とは幼い頃からお知り合いだったりするんですか?」
と巧みに晃太郎との無邪気な子ども時代の思い出話に持っていき、次郎に罪悪感を抱かせたところで。
最初は次郎がそそいでいたはずのワインを珠子がそそぎ、一本空いたので、更に頼んでもう一本持ってきてもらった。
次郎は、
「レディにハシゴをのぼらせて、高いところで寝かせるのは危ないかな」
と言って、珠子を下のベッドにしてくれていたのだが。
珠子は完全に潰れた次郎をお姫様のように、そっと下のベッドに横たえ、自分は上に上がって、ぐっすり眠った。
まあ、なんだかんだで次郎さんが、強引なだけの、乱暴な人ではなかったから無事に済んだわけで――。
「今度から気をつけます」
しゅんとして珠子は言った。
だが、晃太郎は、
「いや、珠子はなにも悪くない」
と言ってくれる。
次郎はもちろん、寝る前に、いい雰囲気になろうとワインを持ってきたりしたのだが。
珠子はザルなので、次郎の方が先に酔ったし。
「二段ベッドって、異国の子ども部屋みたいでいいですよね。
そういえば、次郎さんと晃太郎様とは幼い頃からお知り合いだったりするんですか?」
と巧みに晃太郎との無邪気な子ども時代の思い出話に持っていき、次郎に罪悪感を抱かせたところで。
最初は次郎がそそいでいたはずのワインを珠子がそそぎ、一本空いたので、更に頼んでもう一本持ってきてもらった。
次郎は、
「レディにハシゴをのぼらせて、高いところで寝かせるのは危ないかな」
と言って、珠子を下のベッドにしてくれていたのだが。
珠子は完全に潰れた次郎をお姫様のように、そっと下のベッドに横たえ、自分は上に上がって、ぐっすり眠った。
まあ、なんだかんだで次郎さんが、強引なだけの、乱暴な人ではなかったから無事に済んだわけで――。
「今度から気をつけます」
しゅんとして珠子は言った。
だが、晃太郎は、
「いや、珠子はなにも悪くない」
と言ってくれる。