ちびっこ息子と俺様社長パパは最愛ママを手放さない
 そっか、私そんなに飲んでいたっけ……。というか、細やかな気遣いができる彼女は、私より秘書に向いているんじゃないだろうか。
 反省していると、副社長がなにやら動き出すのがわかった。

「そうでしたか、ありがとう。牧原の言った通り、ここは素晴らしいバーメイドがいるいい店だ」
「ありがとうございます。厚かましいお願いですが、彼女も素敵な方なので、どうか幸せにしてあげてください」

 副社長のお褒めの言葉に、嬉しそうな声を返したバーメイドさんからまさかのアシストが入り、私はむくっと上体を起こす。カウンターの向こうにいる彼女は、私に含みのある笑みを向けた。
 聞いていない素振りでしっかり話を聞いていたらしい。恥ずかしすぎる。

「な、なにをおっしゃいます……!」
「もちろんです」

 どぎまぎする私に構わず、副社長が迷いなく答えた。その言葉にも、私の肩を抱いて立ち上がらせてくれる手にも、ドキドキしっぱなしだ。
 そのまま店の出口へと促される。どうやら今のやり取りの最中にすべての支払いを済ませてくれたようで、申し訳ないやらスマートさにうっとりするやら。
 体を支えて歩いてくれる彼に感謝しながら、とりあえず支払いの件を謝る。

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