ちびっこ息子と俺様社長パパは最愛ママを手放さない
「お会計、すみません! 私の分まで……後ほどお返ししますから」
「そんなの気にしなくていい。それより帰るぞ。家まで送る」

 そう言われて、先ほどの会話を思い出した。睦社長のご令嬢をタクシーで帰らせた話を。
 私のことは家まで送ってくれるんだ……。
 っていやいや、そんな簡単に自惚れられない。私はきっとその時の彼女より酔っているから心配してくれているだけ。これ以上迷惑をかけたくないし、しっかりしなければ。
 バーを出たところで、私は密着した体をやんわりと押し返して、ひとりで立ってみせる。

「送ってくださらなくても平気ですよ。それこそタクシーで帰れます。ほら、泥酔しているわけじゃないのでひとりで歩けますし」

 さっきカウンターに突っ伏したのは、酔っている以上に、副社長がとんでもないことばかり言うから脳が処理しきれなくなったせいだし。
 ところが、副社長はムッとした表情になってしまった。ぎくりとした瞬間、ぐいっと腰を抱き寄せられて目を丸くする。

「君はもっと俺に甘えろ。……避けられると傷つく」

 いじけたような声で言われ、私は彼の綺麗な顔を見上げたままはっとした。

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