クールな上司の〝かわいい〟秘密 ――恋が苦手なふたりは互いの気持ちに気づけない
梅雨が明け、蝉が鳴き始める季節。今日も蝉たちの大合唱を聞きながら、私はショッピングモールまでの道を歩く。
そんな私には、いつも以上に気合が入っていた。なんでもない、平日火曜。だけど、明日はプレブロの秋冬展開日。つまり、今夜が売場改変の実施日だ。
店舗に着く前に、今日の段取りを何度も頭の中で確認する。
今朝は売場改変に伴って届く商品が多いから、私と真霜のふたりで荷受けをする。その後、閉店後すぐに店頭に運び込めるようスタッフにバックヤードで什器を組み立ててもらいつつ、店頭のモニターで流す映像をチェックする。智田SVも来るけれど、彼は検索端末の運び入れと設置で忙しいだろう。
やるべきことをシミュレーションしながら、今日の店舗運営も頭の片隅に置いておく。
(よし、頑張ろう!)
私は今日で着るのも最後だろうドライ素材のTシャツを、朝の爽やかな風に靡かせながら店舗へ向かった。
さっそくパソコンを立ち上げていると、いつものように真霜が朗らかな笑みを浮かべてやってきた。
「店長、おはようございます」
そんな真霜の笑みに癒されたが、今日は彼女にも闘志が宿っているらしい。珍しくパンツスタイルだ。
「今日はよろしくお願いします、店長! 私もばっちりサポートしますから」
彼女はそう言うと、なぜかシャドーボクシングを繰り出す。そんな天然なところも彼女らしい。