クールな上司の〝かわいい〟秘密 ――恋が苦手なふたりは互いの気持ちに気づけない
「敵を倒しに行くわけじゃないんだから。私たちは作り上げる側」
「あ、確かに!」

 彼女のえへへと笑う姿に、私もすっかり心が穏やかになる。くすりと笑うと、扉の向こうからいつもの声が聞こえた。

「荷受けお願いしまーす」

 運送業者の結木くんだ。

「よし、行こう」

 まだオープン前だ。私はジャケット羽織らずに、そのまま荷受けのため真霜と通路へ向かった。

 荷受けは久しぶりだ。通路に置かれた段ボールのラベルを、私は手前側から、真霜は奥側から素早く手元の機械で読み込んでゆく。
 奥側の方がバックヤードに近く、ラベルを読み込んだ段ボールは順番に結木くんが倉庫に運んでくれる。だから、この配置を選んだのだけれど――。

「あれ、少ない……」

 真霜の不穏な声が聞こえて、胸が嫌なふうに騒いだ。奥側にあるのは、キッズ・ベビーの商品だ。
 段ボールから顔を上げ、彼女の方を向く。

「真霜、どうかした?」

 そう聞いた時にはもう遅かった。彼女はその場にしゃがみ込み、結木くんに差し出された紙を見て青ざめていたのだ。
 ただごとではない。すぐにそう察して、ふたりのもとへと急ぐ。

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