クールな上司の〝かわいい〟秘密 ――恋が苦手なふたりは互いの気持ちに気づけない
「由亜が発注数ミスしていたそうです」

 なにも言えない真霜の代わりに、結木くんがそう教えてくれた。

 彼は真霜に差し出していた紙を私へ向ける。発注書と書かれたその紙は、書かれた段ボール数と入荷量が一致していたら押印し彼に託すものだ。

「え、これ……」

 紙に書いてあるトドラー向けの伸縮パンツの入荷数が、予定と違う。売場改変で、店頭に展開する予定の商品だ。
 二十箱の納入予定だったはずだが、発注書には『2』と記載されている。ここが間違っているということは、もとの発注数が間違っていたのだろう。

「これ、私が発注かけたやつですよね」

 真霜はその場にしゃがみ込んだまま、泣きそうな声で言う。

(確かに、これは真霜に頼んだやつだ)

 店舗の在庫管理を真霜に任せた一環で、売場改変案の在庫発注も彼女に任せていた。こちらは私の頼んだ数を入力して発注するだけだから、最終確認も真霜に任せていたのだ。

「どうしよう。二箱なんて、絶対に足りない」

 真霜は小さな声でそう言うと、そのままフリーズしてしまう。そんな真霜を心配して、結木くんもしゃがみ込み彼女の背を撫で始めた。

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