クールな上司の〝かわいい〟秘密 ――恋が苦手なふたりは互いの気持ちに気づけない
(どうすればいいの?)

 こんなことは初めてで、焦りが募る。だが、焦っていても仕方ない。とにかく、お店をオープンできる状態にしないと。
 一度思考を冷静にしようと、深呼吸する。その時だった。

「店頭補充は間に合いそうだな。メンズもいけるか?」

 聞こえてきたのは、智田SVの声だった。
 はっと店頭に目を向けると、リュックを背負ったままの智田SVが青山さんと話をしながら、段ボールを開けるのを手伝っていた。

「出すだけなら大丈夫ですけど、倉庫まで取りに行くのが――」

 彼女の言葉の途中で、智田SVは身を翻す。

「俺が取ってくる。補充は任せた」

 彼はそう言いながら、ばたばたと店舗奥の倉庫へと走ってゆく。

(智田SVが来るの、オープン後だって聞いていたのに)

 じゃらじゃらと小銭が釣銭機に吸い込まれていく音を聞きながら、私の胸には熱いものが込み上げていた。

 智田SVは段ボールを抱えて戻ってくると、すぐに売場に入る。そこでやっと、真霜の声が聞こえた。
 どうやら、彼は真霜とともに在庫補充の割り振りを考えてくれているようだ。

「店長、四番機まで開設終わりました」

 一緒にレジ開設をしていたスタッフのその声に、私は彼女を振り向いた。

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