クールな上司の〝かわいい〟秘密 ――恋が苦手なふたりは互いの気持ちに気づけない
「売場やばい感じですよね。いつもは清掃の手伝いですけど、片付け入ったほうがいいですかね?」

 そう言う彼女の顔が、とても頼もしく見える。

(そうだ、この店には頼もしいスタッフがたくさんいる。だから、きっと大丈夫)

「ありがとう、助かる。ちょっと待ってね」

 彼女にそう言うと、私は売場に向かって大声で言う。

「真霜さん、智田SV、ひとり手が空きました!」

 彼女はすぐにこちらにやってきた真霜に指示を仰ぎ、言われた作業へと向かっていった。

 私もレジ開設を終え、売場の様子を見て回る。智田SVと真霜も補充に当たっていた。
 朝礼まであと五分だが、オープンできる程度には売場に商品が陳列されている。私は安堵し、モップを手に売場のごみを回収して回った。

 なんとか売場を作り終え、オープンを迎える。私はスタッフルームに戻ると、智田SVに頭を下げた。

「ありがとうございました、助かりました」

 スタッフルームには、智田SVとふたりきりだ。真霜には店頭のチェックを任せているし、スタッフたちには真霜の指示で臨機応変に動いてもらうよう、売場で待機してもらっている。

「不動店長の店がこんな状態なんて珍しいな。原因はこれか?」

 智田SVはそう言うと、つけっぱなしにしていたスタッフルームのパソコン画面を指差した。各店舗のトドラー用伸縮パンツの在庫が表示されている。

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