クールな上司の〝かわいい〟秘密 ――恋が苦手なふたりは互いの気持ちに気づけない
「はい、発注数を間違えていたようで、今譲ってくれる店舗を探して――」
「不動店長の現状は分かっている、町田店長に聞いた。なぜ俺に相談しない?」

 智田SVは私の声を遮りそう言うと、私をじっと見た。智田SVに相談しなかった理由はひとつだ。

「真霜に発注を頼んだのは私です。これは私の責任ですし、それに智田SVはこのあと在庫検索端末の設置立会がありますよね。智田SVには智田SVの仕事があるから、迷惑はかけられないと――」
「俺は不動店長の上司だ。頼ってくれ」

 彼は私の言葉を遮って、強い口調でそう言った。だが、次の瞬間にはその口調が弱々しくなる。

「仕事でも頼られなくなったら、俺は……」

 だが智田SVは頭をふるふると振り、私に向き直る。

「在庫、どうするつもりだ?」

 彼の言葉に、私は努めて冷静に、現状を伝えようと口を開いた。

「他店から在庫をかき集めても、予定していた店頭と同じものを作るのは無理だと分かっています。なので、売場のひな壇の数を減らして見栄えだけでも良くなるようにと考えています」
「それが、不動店長の最善か?」
「はい」

 答えながら、両方の拳を握った。悔しさがこみ上げてきたのだ。

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