クールな上司の〝かわいい〟秘密 ――恋が苦手なふたりは互いの気持ちに気づけない
 朝、智田SVが自分の代わりに淡々と指示を出す姿を見て流石だと思ったが、それ以上に自ら仙台まで在庫を取りに行ってくれたことに感銘を受けたのだという。

「上司たちがこんなに動いてくれているのに、私がなにもできないなんて情けないなって思って」

 彼女は苦笑いを浮かべていたが、本心だろう。素直で真っ直ぐで、きちんと自分の心と向き合える。

「真霜さんはいい店長になれると思う。数値も大丈夫だったよ、これでよろしく」

 真霜は私の言葉に肩をすくめたが、すぐにパソコンに向かい発注をかける。
 それを終わらせると立ち上がり、唐突に私に頭を下げた。

「ここからは気持ちを入れ替えて、頑張るので! よろしくお願いします」

 この様子なら、売場改変での指示出しは大丈夫だろう。
 午後からは本部の人たちや他店のスタッフたちもやってきて、本格的に売場改変の準備を始める。バックヤードで什器を組んだり品出しをしてもらい、閉店とともに売場へ移動させて短時間で改変した売場を作り上げる予定だ。
 真霜には売場後方の、現在キッズ・ベビー売場である箇所をメンズ・レディースに作り変える改変の指示をしてもらう。

「こちらこそ、よろしくお願いします」

 すっかり気持ちを取り返した真霜に、私もぺこりと頭を下げた。

 智田SVからは、もうすぐ仙台倉庫に着くと連絡があった。SVの代わりにエリアマネージャーが店舗に来てくれる旨も伝えてもらっている。

 私も気を引き締めて、売場改変の段取りを頭の中でシミュレーションし始めた。

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