クールな上司の〝かわいい〟秘密 ――恋が苦手なふたりは互いの気持ちに気づけない
「不動店長、荷受け必要ですよね?」

 彼は人懐っこい笑顔でそう言いながら、きょろきょろと売場の中を気にしている。

「うん、ありがとう」

 私は荷受け用端末を肩がけのホルダーから取り出し、荷受け作業をしながら続けた。

「真霜さんには奥の改変指示をお願いしてるの。あれから気持ちを立て直してくれて、今は必死に指示出ししてくれてる。最後のチェックまでお願いしなきゃいけないから帰すのが少し遅くなっちゃうけど……大切な恋人、お借りします」

 すると、彼はほっとした笑みをこちらに向けた。

「良かった。本当は俺が慰めてやりたかったんですけど、不動店長には敵わないですね。俺は思う存分、甘やかしてやろうと思います」

 そう言う彼は少しはにかんでいる。こんなふうに想い合えるふたりは、やっぱり微笑ましい。

「そういえば、どうして結木くんがこれを?」

 段ボールを開封しながら聞くと、彼は頬を赤らめながら口を開いた。

「俺、やっぱり由亜のことが心配で。仕事終わりにそこのカフェにいたんですよ」

 結木くんは背後にある、親子向けのカフェをちらりと見た。なるほど、あそこならプレブロ店内がバッチリと見える。

「営業後も従業員出入口で待ってたんですけど、そしたら智田さんが車で来て、なにやら守衛のおじさんとやりとり始めたから。台車の場所も俺なら知ってるし、恋人のピンチを救うのは俺だって思ったら、つい走ってました」

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