クールな上司の〝かわいい〟秘密 ――恋が苦手なふたりは互いの気持ちに気づけない
 それから三十分ほどで、すべての作業が終わった。スタッフたちには先に退店してもらい、深夜残業申請をしている私と真霜だけが売場に残る。

 仙台まで自ら走ってくれた智田SVに改めてお礼を伝えたかったけれど、彼はスタッフたちとともに退店してしまったようだった。

(仕方ないよね、時間も時間だし。朝からの店舗と仙台の往復できっとお疲れだろうから、また明日店舗に来た時にお礼を伝えよう)

 胸にやってきた寂しさをごまかしながら、私は水分補給をしていた真霜を振り返る。

「最終確認、お願いします」
「はい」

 晴れやかな笑顔で返事をする彼女とともに、私は静かな売場を回りだした。

 まずは店頭だ。壁面のポスターや陳列の正誤、ポップや販促物の確認をしてゆく。一度映像を流しての、モニターの確認もした。
 什器同士の幅のチェックはこだわった。ベビーカー同士のすれ違える、ゆったりとしたベビー・キッズ売場にしたい。

 店頭の細かいチェックを終わらせ、私たちは真っ暗なショッピングモールの通路に出た。煌々と明かりの灯る我がプレブロの売場を、真正面から見る。

「すごい、全然違いますね」

 真霜はそう口からこぼしたが、それは私も同じだ。

「うん、本当に」

< 119 / 206 >

この作品をシェア

pagetop