クールな上司の〝かわいい〟秘密 ――恋が苦手なふたりは互いの気持ちに気づけない

 真霜に応援された恋路はなにも進展がないまま、季節は雨の季節へと移ろった。
 だが、梅雨特有のじとっとした空気はショッピングモールの中までは届かない。隣のベビー用品店や店舗前の子ども用広場で遊ぶ子どもたちの声が、元気に響いている。

 そんな今日、スタッフルームには近隣の店舗の店長たちが次々と訪れていた。
 売場改変の決行日まで一か月となった今日、この店舗で売場改変に向けたミーティングを行うのだ。

 売場改変は閉店後から行われる作業で、その日のうちに完結させなければならない。だが我が店舗のスタッフは子育て世代が多く、夜間まで働ける人は限られる。そのため、近隣店舗の店長やスタッフに協力を仰いでおり、これはその打ち合わせだ。
 夜間作業は手当がつくので、他店で働いているフリーターや大学生アルバイトスタッフが多く名乗り出てくれたのはありがたい。

 集まってもらった店長たちにはスタッフルームでショッピングモールに提出する夜間作業スタッフの名簿を各々確認してもらい、確認の終わった店長からミーティングルームへ移動してもらっている。

「うちの店舗のスタッフ、これでOKだよ」

 町田店長に最後の名簿を手渡されると、私は彼とふたりでミーティングルームへと移動した。

 中に入ると、智田SVと島崎店長がなにか話をしていた。だが、智田SVは私に気づくと立ち上がる。彼には、ミーティングで使うモニターの準備をお願いしておいたのだ。

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