クールな上司の〝かわいい〟秘密 ――恋が苦手なふたりは互いの気持ちに気づけない
「準備はできている。よろしく頼む」

 智田SVは部屋の前方にやってきた私にそう言い、自分は後方へと下がっていく。
 私は気持ちを引き締めて、店長たちへの売場改変の説明を始めた。

「――以上となります。この後、各店舗ごとに売場改変時にやって欲しいことを簡単に共有しますので、しばらくお待ちください」

 全体への説明を終え、ほっと安堵の息をつく。智田SVには目くばせで労いを受けたが、胸が高鳴る前に次の仕事へと取りかかった。

「不動店長、お手洗いに行ってきてもいいですか?」

 各店長のもとへ向かおうとしたところ、島崎店長が手を挙げそう言った。

「もちろん。島崎店長の店の説明は、島崎店長が戻ってきてからにするね。場所、分からなかったらスタッフルームの誰かに聞いて」
「分かりました」

 島崎店長は席を外す。私は他の店長たちに、売場改変改変の説明を始めた。

 やがて店長たちは解散してゆく。私は最後になってしまった島崎店長への説明を終え、彼女とともにミーティングルームを出た。

「スタッフさんたちへのミーティング内容の伝達、どうぞよろくお願いします」

 売場改変当日、彼女は来られないそうだ。だが、彼女の店舗のスタッフをお借りするのだからと、私はぺこりと頭を下げる。

 すると、島崎店長は私から視線を逸らした。きっと、自分が参加できないのを気まずく思っているのだろう。智田SVから、彼女は店舗運営について未熟だから、売場改変には参加を見送らせたいと聞いている。

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