滾る恋情の檻
自卑
大学近くの居酒屋。
ざわざわとした空気と、少し煙った香ばしい匂いが漂う中で、サークルの新歓飲み会は始まった。
丸テーブルにぎっしりと並べられた料理とジュース。
先輩たちの賑やかな声に、胸の奥がそわそわと落ち着かない。
「じゃあ新入生、自己紹介お願いしまーす!」
場の中心で声がかかり、順番に新入生が立ち上がっていく。
隣に座る同じ新入生の子に背中を軽く押され、ついに自分の番がきた。
立ち上がるだけで、胸がどくんと跳ねる。
「……は、初めまして。教育学部の一年、七瀬美子です。えっと……地元は〇〇です。趣味は読書と……映画を観ること、です」
緊張で、声は少し震えていたけれど、なんとか言い切った。
その瞬間――
「うわ!?めっちゃ美人じゃん」
「大人っぽい雰囲気やば。ちょっと前まで高校生とか信じられん」
「影がある感じっていうか……なんか惹かれるな」
ざわざわと、周囲の男子先輩たちの視線が一斉に集まった。
中にはわざわざ席を移動して話しかけてくる人までいて、グラスを持つ手が自然と強張る。