初恋相手に再会したら、恋の続きになりまして
滉星が近くの机に置かれた図面を手に取り、理世の方に向けて見せる。
「これは、今手がけてる住宅のプラン」

理世はうなずきながら覗き込む。
「細かいね……でも、すごく丁寧で、かっこいい」

滉星は少し照れくさそうに笑った。
「……ありがとう」

その言葉に、理世の頬が熱くなる。

理世はそっと背を伸ばし、図面を指でなぞりながら聞く。
「こういう仕事、大変だけど楽しそうだね」

滉星の視線が、ふと理世に向く。
「楽しさ……は、確かにあるね。でも、理世の今の仕事もそうだろ?」

理世は思わず息を呑む。
その言葉、声のトーン、視線。すべてが、胸の奥をじんわりと熱くする。

「……うん、私も今の仕事が好き」

滉星は少し間を置き、でも迷いなく答えた。

「……理世がいると、落ち着く。安心する。――それに、楽しい」

理世は目を見開き、唇を小さく噛む。

手を伸ばせば届きそうな距離。
でも、どちらもその距離を崩そうとせず、ただ見つめ合う。

――高校の頃、あの小さな公園で初めてキスを交わしたときの、胸の高鳴りを思い出す。


今は、少し大人になった二人。



理世は小さく息を吸い込み、心の中で呟いた。
(……やっぱり、好き。昔も、今も)
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