初恋相手に再会したら、恋の続きになりまして
杏里はにんまりと微笑み、唇に人差し指を立てるようにして小声で言った。

「ファイト!」

その一言に押されるように、理世はスマホをぎゅっと握った。
心臓が耳元で鳴っているような感覚。
深呼吸をして、短く打ち込む。

――「いいよ。いつにする?」

送信ボタンを押した瞬間、全身が熱くなる。
逃げ出したくなるような恥ずかしさと、どうしようもない期待が同時に押し寄せてくる。

すぐに、既読が付いた。
理世は思わずスマホを胸の前に抱きしめる。
「早すぎない……?」
震える声をこぼすと、杏里が肩を揺らして笑った。

ほんの数秒後、再び画面が光る。
『明日の夜はどう? 仕事のあと、駅前のあのカフェで』

高校生の頃、よく使った場所。
値段もあまり高くなくて、あの頃の二人が時間を過ごせる場所だった。
名前を見ただけで、胸の奥がきゅっと締め付けられる。

「……覚えてるんだ」
理世は小さく呟き、目尻に熱を感じた。
隣では杏里が「きたーーっ!」と声にならない歓声をあげている。

理世の指先は自然とYesと打っていた。
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