初恋相手に再会したら、恋の続きになりまして
翌日。

待ち合わせのカフェは、十年前と変わらぬ雰囲気を残していた。
少し暗めの木目調の内装、窓際に差し込む柔らかな光、ほのかに漂うコーヒーの香り。
あの頃、放課後によく二人で座った席。

――そこに、滉星はいた。

背の高い姿が椅子に収まっているのに、どこか窮屈そうで、それでも周囲に自然となじんでいる。
昔よりも肩幅が広くなり、落ち着いた空気を纏っている彼を見つけた瞬間、理世の胸は大きく波打った。

「待たせてごめん」
声が少し震えてしまう。

滉星は穏やかに首を振った。
「今来たところだよ」

優しく微笑むその表情は、高校の頃とまったく同じだった。
ただ、少年のあどけなさは影を潜め、大人の余裕がそこに重なっている。

理世は思わず視線を逸らす。
窓の外を見ながら、胸の奥に小さく囁く。
(……やっぱり変わらない。なのに、こんなに違って見えるのはどうして?)

カップを手に取りながら、滉星が口を開く。
「この席、まだ空いてるなんて思わなかったよな」

「……うん。ここ、よく座ったよね」
理世の声は、懐かしさと照れが入り混じって少し掠れた。
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