桃果の契り 才人妃は皇太子に溺愛されて
「言えません……」

侍女は蒼ざめた顔で首を振った。

「ならば吐くまでだ!」

煌の怒声が広間に響き渡る。

「鞭を打て!」

「はっ!」

兵士が鞭を振り下ろすと、衣服越しでも容赦ない音が響いた。

「うっ……ああっ……!」

侍女は冷や汗を滲ませ、体を震わせた。

「さあ、吐け!」

煌の目には怒りの炎が燃えている。

「もう……やめて!」

痛みに耐え切れず、ついに侍女は意識を失い、その場に崩れ落ちた。

「皇太子様、そこまでに!」

たまらず私は駆け寄り、煌の腕を掴んだ。

「ならん!」

煌は私を振りほどき、なお怒りを滲ませる。

「妃の命を狙う者は、誰であろうと許されぬ!」

その声に、広間の空気が凍り付く。

私は胸を押さえながら、震える声を絞り出した。

「お願いです……これ以上は……」

煌は私の瞳を見て、初めて表情を曇らせた。
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