桃果の契り 才人妃は皇太子に溺愛されて
「私を疑うのですか? 妃の命を狙ったと?」

紅蓮様の声音は、氷のように冷ややかだった。

煌は鋭い視線を逸らさず、皇后を睨み据える。

「命を狙った者を庇うなど、信じられん。」

しかし紅蓮様は一歩も引かなかった。

「後宮に仕える者すべてを管轄するのが、皇后である私の務めです。一介の侍女であっても、気を失った者に更なる折檻を加えるなど――見過ごせません!」

その声は張り詰めた広間に響き渡る。

「小桃が命の危険にさらされたんだぞ!」

煌の怒声が重なり、床の間まで震えるようだった。

私は寝台の上から、そのやり取りを見ていた。

煌の瞳に燃える怒りは、私を守ろうとする強さそのもの。

けれど皇后様の言葉にも、一理あるのかもしれない。

(私は……二人の争いの火種になってしまったの?)

張り詰めた空気の中で、誰も次の言葉を発せられなかった。
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