桃果の契り 才人妃は皇太子に溺愛されて
「柳妃が……懐妊?」

広間の隅で、妃たちが顔を見合わせた。

「身分の低い妃が子を宿すとは。」

ひそやかな声が、すぐに鋭い棘を含んでいく。

「まあ、いずれはこうなるかと思っていたけれど。」

小桃の懐妊の噂は、喜びよりも妬みを呼び、妃たちの目を細めさせた。

「次の夜伽番はどうなるのかしら。」

「やはり、一番は鄭妃では?」

その名が出た瞬間、数人がうなずいた。

「鄭家は、金軍の将である殿下の一番の右腕。その娘を妃として立てるのは当然。」

「それに――鄭妃は美しいし、何よりも嫉妬しない。柳妃にとっても、これ以上の“あてがい”はないのでは?」

くすくすと笑いが漏れる。

まるで私の幸せを認めた上で、次の“調整役”を勝手に決めてしまったかのようだった。

私は背筋に冷たいものを覚えた。

彼女たちにとって、後宮は愛を競う場所ではなく、権力と均衡を計る盤上なのだ。
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