桃果の契り 才人妃は皇太子に溺愛されて
「どうか、次の夜伽は私をご推薦くださいませ。」

鄭妃の言葉が、耳から離れなかった。

あれは脅しだったのか、それとも……。

夜。煌が私の部屋を訪れた時、私は思い切って口を開いた。

「煌……相談があります。」

彼はすぐに私を抱き寄せ、穏やかに見下ろす。

「どうした、小桃。」

「今日、鄭妃様がいらして……お祝いを下さいました。でも……その時に……」

言葉が震える。煌の眉がぴくりと動いた。

「次の夜伽は、ご自分をご推薦くださいと。」

沈黙が落ちる。

私は怯えながら煌を見上げた。

「私……どう答えたらいいのか分からなくて。」

次の瞬間、煌は強く私を抱き締めた。

「小桃、心配するな。俺が選ぶのはいつだっておまえだけだ。」

低い声に胸が震える。

「後宮が何を言おうと、誰が望もうと――俺が欲しいのは小桃だけだ。」

その言葉に、胸の不安がすっと消えていった。
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