桃果の契り 才人妃は皇太子に溺愛されて
そして、ついに夜伽の番に鄭妃が選ばれるようになった。

表向きには後宮の秩序が守られ、妃たちの不満も静まった。

だが――その代わりに、昼間は煌が私を執務の部屋へと呼び寄せるようになった。

「もうすぐで仕事が終わるから、待っていてくれ。」

机に向かいながらも、彼は必ず私をそばに座らせる。

書状に印を押す手を止め、ふとこちらを見て微笑んだ。

「ああ……小桃。お腹が大きくなったね。」

その手が伸びて、愛おしげに私の腹を撫でる。

「ここに俺たちの子がいるんだと思うと、力が湧いてくる。」

私は照れながらも微笑み返した。

「執務中なのに……まるで、家族の団欒みたいですね。」

煌は筆を置き、私を抱き寄せた。

「それでいい。俺は皇太子である前に、小桃の夫であり、この子の父親なんだから。」

外の世界では決して見せられない光景――。

けれどこの部屋だけは、私と煌と子供の、小さな家族の場所になっていた。
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