桃果の契り 才人妃は皇太子に溺愛されて
そして、煌は私の昇進を決めた。

「柳小桃を、貴妃にする。」

煌の宣言は、後宮を震わせた。

貴妃とは、皇后に次ぐ高位。

皇后に何かあれば、その代わりを務める重責を担う存在――。

「わ、私を……貴妃に?」

信じられずに問い返すと、煌は当然のように微笑んだ。

「他に誰がいる?」

その言葉は甘やかで、揺るぎない。

庭園を散歩する時も、煌はためらいなく私の手を取り、皆の前で歩いた。

「柳妃……いや、もう貴妃様だな。」

司馬陽が満足げに言う。

「これほどまでに殿下に愛されているお妃様は、他におりません。」

胸の奥に熱が広がった。

(……私は、あの商人の娘だったのに。)

誇らしかった。

煌に愛されるだけでなく、その愛を後宮全体に示されたことが。

だが同時に、背筋に冷たいものが走った。

(皇后様は……このことをどう思われるのだろうか。)
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