桃果の契り 才人妃は皇太子に溺愛されて
お腹が日に日に大きくなり、部屋から出るのも大儀になった。

そんな私を気づかって、今度は煌の方から私の部屋へ足を運ぶようになった。

「もうすぐか……産まれるのは。」

椅子に腰掛ける私の傍らで、煌は落ち着かぬ様子で歩き回る。

普段は威厳に満ちた皇太子が、今は少年のように浮き立っていた。

「皇子か。いや、それとも姫か。」

その横顔を見ているだけで、胸が熱くなる。

「私も……楽しみで仕方ありません。」

思わず笑みをこぼすと、煌は私の膝に手を置いた。

「初めてのお子ですもの。やはり皇子がいいですわ。」

ふっと笑った彼は、私の膨らんだ腹をそっと撫でた。

「いや……どちらでも構わないよ。小桃と俺の子だというだけで、何よりも尊いのだから。」

低い声に、涙が滲んだ。

皇太子ではなく、ただの夫・煌としての言葉が、胸の奥に響いたのだった。
< 132 / 148 >

この作品をシェア

pagetop