桃果の契り 才人妃は皇太子に溺愛されて
だけど朝になり、昼間を過ぎても子は産まれなかった。

「ふぅ……ふぅ……」

押し寄せる陣痛に耐えながら、私は必死に息を繰り返す。

「小桃、頑張れ。俺がそばにいる。」

煌の声が耳に届く。

寝台の脇に座り込んだ彼は、ずっと私の手を握りしめていた。

夜を越え、朝を迎えても離さずに。

「殿下、どうかお休みを……」

宦官や侍女が進言しても、煌は首を横に振った。

「俺はここを動かない。小桃と、この子が生まれる瞬間を待つんだ。」

強い痛みが押し寄せ、思わず彼の手を爪で掴んでしまう。

「うっ……あああっ!」

「大丈夫だ、小桃!」

手を握り返す煌の声に、私は必死に涙を堪えた。

(こんなに苦しいのに……でも、煌が隣にいるから……乗り越えられる。)

果てしなく長く感じる時の流れ。

それでも彼の眼差しは一瞬たりとも揺るがず、私を支え続けていた。
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