桃果の契り 才人妃は皇太子に溺愛されて
しかも夜になっても、子は産まれなかった。

私の呼吸は荒く、体力は確実に削られていた。

「朝ごはんも、夕げも口にされていません。このままでは……」

医師の顔は青ざめていた。

「このままでは、産まれる前に貴妃様のお身体が危うい。……母子ともに危険です。」

静まり返った部屋に、その言葉だけが重く落ちた。

「なっ……!」

煌が思わず立ち上がり、医師の胸倉を掴む。

「危ういとはどういうことだ! 何か手立てはないのか!」

「……安産符を持つ者を呼ぶか、産婆を増やすしか……しかし、それでも……」

「そんな……!」

私は苦しみの中、震える声を絞り出した。

「お願い……煌。私は……この子を……必ず産みたい……」

煌は私の手を握り締め、必死に涙を堪えた。

「小桃……! 頼む、死ぬなんて言うな。俺からおまえを奪うな!」

その声は、皇太子の威厳ではなく、一人の夫の叫びだった。
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