桃果の契り 才人妃は皇太子に溺愛されて
その瞬間――空を裂くように稲妻が走った。

ピシャァァァァンッ!

「ひいっ!」

侍女たちが悲鳴を上げる。

「見ろ! 空に龍が!」

宦官の叫びに、皆が一斉に天を仰いだ。

雷光に照らされた雲の中、たしかに巨大な龍が身をくねらせていた。

「おぎゃあああ!」

赤子の産声が、部屋いっぱいに響き渡る。

その声は、雷鳴にも龍の咆哮にも負けないほど力強かった。

「産まれた……」

医師の声が震える。

煌は赤子を両腕に抱き上げると、震える唇で呟いた。

「龍神よ……確かに受け取ったぞ。」

そして廊下に出て、天を仰ぎ、我が子を高々と差し出した。

「我が子を! この国の未来を! 必ず守り抜く!」

雷鳴が再び轟き、龍の影が消えていく。

その瞬間、煌の頬を熱い涙が伝っていた。
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