桃果の契り 才人妃は皇太子に溺愛されて
「男の子でしたか……」

腕に抱かされた小さな温もりを胸に、私は涙が止まらなかった。

弱々しいはずの体は、力強く産声を上げ続けている。

「小桃……ありがとう。」

煌が私の額に口づけし、そっと赤子の頬に触れる。

その指先まで、愛おしさで震えていた。

その時、不思議なことが起こった。

「おぎゃあああ!」

赤子の声が一際大きく響いた瞬間、曇っていた空が一気に晴れ渡ったのだ。

さっきまでの雷鳴が嘘のように消え、澄み渡る青空が広がる。

「龍も……去って行った……」

呆然と空を仰ぎながら、宦官が声を震わせた。

「国を支える皇子が生まれる時、龍が姿を現す――本当のことだったのだな……」

誰もが神話の再現を目の当たりにし、ただ立ち尽くすしかなかった。

私は赤子を胸に抱き締め、煌と視線を交わした。

(この子と共に、必ず未来を生き抜いていく――)
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