桃果の契り 才人妃は皇太子に溺愛されて
数日後、王宮の広場に人々が集められた。

家臣も、兵士も、民も――皆が息を呑んで壇上を見つめる。

煌は正装をまとい、私の腕の中に抱かれた赤子を高々と掲げた。

「聞け!」

その声は雷鳴のように響き渡った。

「龍神が見守る中、この世に皇子が生まれた! 」

広場は一斉に歓声に包まれた。

「そして――」

煌は私を見つめ、力強く続けた。

「この子を産んだのは柳小桃。俺が愛し、俺が選んだ妃だ。これからも堂々と、俺の傍らに立つ。」

どよめきが走る。だがその眼差しに嘘はなく、誰も逆らえなかった。

「小桃とこの子を、俺は命を懸けて守る! これが、皇太子として、男としての誓いだ!」

私は涙を堪えきれず、赤子を胸に抱き寄せた。

(煌……あなたがそこまで言ってくれるなら、私は何も恐れない。)

空にはまた一筋の光が走り、まるで龍が頷いているかのように見えた。

「名は――龍明(りゅうめい)とする。」

煌の声が広場に響いた。
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