桃果の契り 才人妃は皇太子に溺愛されて
龍明は、まだ小さな体を小桃の胸の中で眠らせていた。

煌は、その寝顔を覗き込みながら微笑む。

「こんなにも小さいのに、もう国を背負う存在なんだな。」

「でも、私にとってはただの可愛い子です。」

小桃はそっと頬ずりをして、赤子の温もりを確かめた。

煌は彼女の肩を抱き寄せると、優しく言った。

「小桃。君が命を懸けて産んでくれた……俺の宝だ。いや、君とこの子こそが、俺のすべてだ。」

「煌……」

涙ぐむ小桃の手を取り、そのまま赤子の小さな手の上に重ねる。

「三人で、一緒に生きていこう。どんな困難があっても、俺は必ず守る。」

小桃は微笑み、眠る龍明を抱いたまま煌に寄り添った。

外では鳥がさえずり、後宮にしては珍しい穏やかな風が流れている。

(ああ、幸せって、こんなにも温かいのだ……)

小桃の心は、煌と龍明に包まれて、満ち足りていた。
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