桃果の契り 才人妃は皇太子に溺愛されて
そして気づけば、煌は庭の桃よりも、私に会いに来ることの方が多くなっていた。

「小桃。」

いつものように戸を開け、当然のように部屋へ入ってくる声。

「……煌。」

いけないと分かっているのに、体は抗えなかった。私は思わず彼に抱きついていた。

「会いたかった。」

その言葉は、抑えていた胸の奥の本音だった。

「煌、私も……。」

気づけば、唇から自然に零れていた。

毎日会いたい。その想いが、私を完全に支配していた。

どんなに理性で否定しても、心は彼を求めてしまう。

「煌、私……」

言いかけた瞬間、彼が指先で私の唇をそっと塞いだ。

「言うな。」

低く響く声が、胸の奥まで届く。

「毎日、会いに来るから。」

その断言に、涙がにじむほど胸が熱くなる。

許されぬ恋だと知りながら――私は、彼を待ち続ける妃になっていた。
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