桃果の契り 才人妃は皇太子に溺愛されて
そして私は、はっきりと自覚してしまった。

――煌に恋をしている。

好き。煌が好き。

彼に会えない夜は、胸が締めつけられて、枕を濡らすほど涙が溢れた。

そんな日々が続いたある夜、戸口から聞き慣れた声が響いた。

「小桃。」

「……煌!」

駆け寄るよりも早く、体が勝手に動いていた。

私は彼の胸に飛び込み、その温もりを確かめるように抱きついた。

「会いたかった……!」

「ごめん、遠征で遠くに行っていたんだ。」

低い声とともに、久しぶりに嗅ぐ衣の匂いが胸いっぱいに広がる。

汗と風の香り、どこか懐かしい桃の甘さ。

――そのすべてが煌その人を感じさせた。

「でも、こうして会いに来てくれて……嬉しい。」

涙声で告げると、彼はそっと腕を回して抱き返してくれる。

「小桃……」

ただ名前を呼ばれるだけで、心臓が苦しいほど高鳴った。

ようやく再会できた安堵と、この恋が許されない不安がないまぜになり、私は彼の胸に顔を埋めて、ひとしずく涙を零した。
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