桃果の契り 才人妃は皇太子に溺愛されて
「……煌。」

その夜、私は自分から衣の紐を解いた。

「今夜は……私が、あなたを抱いてあげる。」

驚いたように目を見開く彼に微笑みかけ、私は服を脱ぎ、彼の上に跨った。

肌が触れ合う瞬間、体の芯まで熱が走る。

「ああ……」

煌の吐息が熱を帯びて震える。

「いい……小桃の中、こんなに熱くて……」

彼の声が途切れ途切れに洩れる。

私はただ彼が欲しくて、激しく体を揺らした。

「煌……煌……」

名前を呼ぶたびに、彼の瞳が潤み、切なさと愛しさが入り混じった表情になる。

「小桃……小桃……!」

彼もまた、何度も私の名を呼び返す。

この人を失いたくない。

――その想いが全身を突き動かしていた。

「煌……お願い。煌の全部を、私に注いで……!」

涙混じりの声で訴えたとき、彼の腕が私を強く抱きしめ、熱が深く注がれた。

「……小桃!」

愛と別れの不安がないまぜになった夜。

私は、彼を抱き尽くすことでしか、この胸の想いを伝えられなかった。
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