桃果の契り 才人妃は皇太子に溺愛されて
そして一週間が過ぎても、煌が帰ってくる気配はなかった。

胸の不安に耐えきれず、私は思い切って口を開いた。

「……あの、戦場の様子は入ってきていますか?」

問いかけた相手は、いつも私の身の回りを世話してくれる宦官の司馬陽だった。

彼は帳簿を片付けながら顔を上げ、怪訝そうに首をかしげる。

「どうして、柳貴人がそれを気にされるのですか?」

その視線に、心臓が跳ねた。

(しまった……私が尋ねるべきことではなかったのに……)

けれど、もう言葉を引っ込めることはできなかった。

胸の奥の切実な想いが、舌を突いて出てしまう。

「あの……将軍と、知り合いでして……」

言い終えた瞬間、司馬陽はぽかんと口を開け、目を丸くした。

「将軍……? 柳貴人が、金軍の将と知り合い……?」

その反応に、さらに顔が熱くなる。

弁解しようとしても、声が喉に詰まった。

(どうしよう……! 知られてはいけないのに……)

胸の奥で、秘密の恋が後宮の光の下にさらされかけていることを、私ははっきりと自覚した。
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