桃果の契り 才人妃は皇太子に溺愛されて
新しく与えられた部屋は、それまでの小部屋とは比べものにならないほど広かった。

高い天井に、磨き抜かれた床。

窓からは庭園の池が望め、絹の帳が揺れている。

「……これが、妃の部屋。」

私は思わず息を呑んだ。

広すぎて落ち着かない。

そこへ、一人の少女が恭しく頭を下げた。

「柳妃様。私、これよりお仕えいたします雪如と申します。」

「……私に侍女が?」

驚きで声が上ずった。

「はい。妃の身分になられた方には、必ずお付きの者が与えられます。」

雪如はまだ若いが、きびきびとした動きで私の荷を整理し始める。

「こんなに大きな部屋……私にはもったいないわ。」

思わずこぼすと、雪如は微笑んだ。

「いえ、柳妃様のお部屋としては当然の広さです。」

広い寝台に座ってみても、やはり居心地が悪い。

これまで煌と過ごした小さな部屋の方が、どれほど安心できただろう。

(……煌。こんな場所で私は、どうすればいいの?)

新しい位と新しい生活に胸を躍らせるよりも、不安ばかりが募っていった。
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