桃果の契り 才人妃は皇太子に溺愛されて
そして、ついに庭園の日がやってきた。

「さあ、精一杯おめかししましょうね。」

雪如は明るく声をかけ、豪華な衣を私にまとわせた。

金糸の刺繍が施された裳を揺らし、最後に簪をスッと挿す。

「大丈夫です。他のお妃様よりも小桃様の方がお綺麗ですよ。」

雪如の励ましに背中を押され、私は庭園の門をくぐった。

そこには色とりどりの衣に身を包んだ妃たちが、花々のように並んでいた。

香を焚きしめた空気は甘く重く、緊張で胸が苦しくなる。

「まあ、新しい顔ですね。」

「誰かと思えば……」

涼やかな声が投げかけられる。

私は一歩進み、深く礼をして名乗った。

「柳小桃と申します。」

その瞬間、妃たちの目が鋭く光った。

値踏みするように私を見つめ、口元には仄かな笑み。

そこには歓迎よりも牽制の色が濃かった。
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