桃果の契り 才人妃は皇太子に溺愛されて
「……本当に、煌なの⁉」
涙で滲む視界の中、私は震える声で問いかけた。
「疑うのか。」
低い声が、どこか楽しげに響く。
「だって……いつもと違う装いだし。」
目の前の彼は、金糸の衣をまとい、冠を戴いている。
私の知る煌は、質素な武人の衣に無造作な髪――まるで別人のように見えた。
「ああ……これでも俺、皇太子だし?」
口元に笑みを浮かべ、彼は肩をすくめる。
「ちゃんとした服を着ないと、司馬陽に叱られるんだよ。」
「……ええっ⁉」
その砕けた言い方、肩の力の抜けた笑顔――間違いない。
私の知る煌、その人だった。
「そうだな。これを見せれば、納得するか?」
彼は懐から細長いものを取り出した。
月明かりを受けて輝いたのは、金細工の施された簪。
「あ……それは……!」
胸が高鳴る。
父から託され、あの日、別れの印として渡した簪。
煌――いや、皇太子は柔らかく笑った。
「君からもらった、大切なものだ。」
涙で滲む視界の中、私は震える声で問いかけた。
「疑うのか。」
低い声が、どこか楽しげに響く。
「だって……いつもと違う装いだし。」
目の前の彼は、金糸の衣をまとい、冠を戴いている。
私の知る煌は、質素な武人の衣に無造作な髪――まるで別人のように見えた。
「ああ……これでも俺、皇太子だし?」
口元に笑みを浮かべ、彼は肩をすくめる。
「ちゃんとした服を着ないと、司馬陽に叱られるんだよ。」
「……ええっ⁉」
その砕けた言い方、肩の力の抜けた笑顔――間違いない。
私の知る煌、その人だった。
「そうだな。これを見せれば、納得するか?」
彼は懐から細長いものを取り出した。
月明かりを受けて輝いたのは、金細工の施された簪。
「あ……それは……!」
胸が高鳴る。
父から託され、あの日、別れの印として渡した簪。
煌――いや、皇太子は柔らかく笑った。
「君からもらった、大切なものだ。」