桃果の契り 才人妃は皇太子に溺愛されて
煌は、私の頬に手を添え、静かに見つめてきた。

「小桃……もう隠さない。今夜、皇太子として――君を俺の妃にする。」

その瞳の強さに、胸が熱く震えた。

「……はい。」

声は涙で掠れていたけれど、心は確かに頷いていた。

煌は私を天蓋の寝台へと導き、夜着の紐をほどく。

布が滑り落ち、裸の肌が蝋燭の灯に照らされると、私は思わず身を縮めた。

「怖がらなくていい。俺が一生守る。」

低く囁くと、煌は自らの衣も解き、熱を帯びた体を重ねてきた。

「小桃……やっと、君を抱ける。」

唇が重なり、深い口づけが胸を焼く。

彼の熱が私の中に入り込んでくるたび、皇太子としての威厳も、ただひとりの男としての欲も混ざり合って押し寄せる。

「ああっ……煌……」

名を呼ぶ声は震え、涙と快感が入り交じる。

「声を隠すな。俺の妃は、君だけだ。」

何度も囁かれ、抱きしめられ、私は彼のものになっていく。

痛みも恐れも、すべて甘い熱に溶かされていった。

やがて夜が更け、身体も心もすべて彼に捧げたとき――煌は私を強く抱きしめた。

「小桃……俺のただ一人の妻。これからは、誰にも譲らない。」

涙に濡れた頬を寄せながら、私は頷いた。
< 74 / 148 >

この作品をシェア

pagetop